なんだかんだで首の皮一枚

なんだかんだで首の皮一枚

前の前の会社を退職して以来、働いたり働かなかったり憂鬱だったりそうでなかったり、ずいぶんてテキトーに生きてきた。

振り返っても記憶がおぼろげなくらい空虚な数年だったけれど、死にかけた時なんかもあって、何十年後とかに振り返った時には、それなりに人生の一部になっているのかも。なんて思っている。

そんな感じで生きていると困るのはやはりお金のこと。成人してから、お金を使う趣味や無駄な物欲がなくなったため、日々使う額は平均より少ないと思う。

しかし病院に行ったり必要なものができたり冠婚葬祭だったり……。唐突にお金が必要になる場面は訪れる。失業保険などでギリギリのやりくりをしていると、そんな唐突な出金に右往左往しなければならない。

カードや光熱費の請求に怯えたことは数知れず。家賃の引き落とし日が来ないように祈ったことも幾たびと。しかし不思議と、支払いが滞ったことは一度もなかった。

臨時収入があって即座に入金したら、引き落とし後に残高が数百円だった。とか、今度こそついにキャッシングか……、というときに仕事の話をもらったりとか。

思い返せば前職もそうだった。さすがにそろそろ働かないとまずいでしょ……。と思って近所でバイトを始めた矢先、昔の縁から誘いを受けた。

結局そこも一年ほどで辞めてしまい、ニート逆戻りみたいな気がしないでもないのだけれど、なんだかんだで首の皮一枚生き延びてこられた訳です。

親にお金を借りたこともあったから、正確にはそうは言えないのだろうけれど、なにか見えない力が働いて、上手くことが運ぶように誰かが仕向けているんじゃないか。

なんて超自然的なことを考えずにはいられないような、そんな経験なのだと思う。これを友人に話したら「運がいいね」と言われた。

僕は今まで自分の人生をついている、などと思ったことがなく、先述のできごとも「危ねぇ、良かったぁ~」と胸をなでおろす程度にしか考えていなかった。

しかし幸せに気付けない人が不幸せなように、僕の人生もそれなりについている時があったのかもしれない。そう思えなかったのは、単なる偶然ととらえて気づこうとしていなかっただけで。

今の僕の状況がどうなのかは分からない。はたから見れば脳天気なお花畑野郎、あるいは絶望の谷に真っ逆さまなお先真っ暗人間かも知れない。

しかしいずれにしろ、運が良かったのかも? と気づいた瞬間から、その前と後では人生の認識がほんの少し変わっている。

ついている、と前向きな気持ちなら多少の冒険だってできるかもしれない。それでどちらに転ぼうが、なんだかんだで首の皮一枚を期待して。

 

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